■第14回「秋田酒屋唄を飲む会」体験記
 大吟醸「酔楽天」で有名な秋田酒造(秋田晴)の「第14回秋田酒屋唄を飲む会」に、3年連続で参加してきた。去年と同じ「酉元(もと)仕込み」・「米とぎ」・「酉元(もと)すり」の蔵人体験である。酒屋唄を唄いながらの、文字通りの手造りで、楽しくお酒の仕込みのお手伝いが出来たと思う。
●2007/2/4(日)
 8:20  出かける前に、事件が発生していた。昨日9時頃の暴風で、隣の塀と5台ぐらいはいる車庫の屋根が飛ばされていた。被災見舞いに行きたいところだが、まだ朝早いしと、それを横目で見ながら、秋田酒造に向かった。
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 8:40  ラクダの股引ならぬ厚手の下着を重ね着して、長靴の重装備の出で立ちで向かった。我々の業界で言う、屋外中継のスタイルである。途中、同級生が若社長の「英雄」・「新政」瓶詰め工場・「黄金井」と酒屋が続く。
森川酒造店
 歩いて10分の近いところなので、やっぱりギリギリの時間になってしまう。今回は、横の工場口ではなくて、正面の玄関から入る。参加の手続きをしていたら、社長の挨拶が始まっていた。会長は風邪を引いたとかで、姿が見えなかった。
 今年の蔵は、暖かいことを想定していたが、昨日になって急に冷えてきた。本来の寒い蔵だった。タンクには、保温のため断熱材を巻いていたくらいである。
正面玄関/店舗
●秋田晴  秋田酒造(株)
〒010-1631
秋田市新屋元町23-28
 9:00  洗面器で手を消毒して、一同酒蔵内の松尾神社に参拝する。酒屋の神様である。まずは、酉元(もと)仕込みから始まる。釜場では、すでに蒸し米が終わっていて、湯煙を上げていた。蔵人に聞いたら、朝7時頃釜に火を入れたと言う。
松尾神社 釜場
 蒸し米を運ぶ桶を「ぶち桶」と言う。肩に担いで一気に走り、ムシロの上にぶちまけたことから、「ぶち桶」と名前が付いたらしい。これの担ぎ方をベテラン会員が実演。本番では、蒸し米の量を少なめにして貰って、約10m先のムシロにぶちまけた。4〜5人で蒸し米をかき混ぜて冷やす。適当に冷えたところで、仕込み水と麹が入れてあるタンクに入れる。75Kgの蒸し米を、6回ぐらいに分けて行った。
ぶち桶
蒸し米を冷やす
 50名ほどが参加したが、殆どが秋田市で、それ以外は4名程度である。札幌から参加した人もいた。
 9:40  場所を、直ぐ隣の西部公民館に移った。町内活動でよく使うところだ。野本社長による酒造りの説明から始まった。
10:45  休憩のあと、利き酒を始めた。まずは名前の入ったお酒を5種類飲む。大吟醸「酔楽天」・純米酒「古式純造り」・超辛口「どっ辛」(白)・春雪生・・純米酒「ヨーイトナー」である。このあと、無記名のお酒を飲んで、さっきのどれかを当てるのである。今回は、日頃よく飲んで味が分かっているので、名前の入ったお酒を飲まないで、いきなり無記名を飲んでみた。飲み込まないで利き酒をしたのだが、やっぱり分からなくなる。当てたのは一つだけだった。
11:30  午後からの仕込みで唄う酒屋唄の練習を始める。指導役は一昨年まで蔵の工場長だった人で、今は定年となった。民謡教室に入っていたのか、発声が本格的で上手な人である。
12:00  新屋の某仕出し店の弁当で昼食。
13:00  西部公民館から蔵に戻る。手消毒を行ってから、「米とぎ」の作業に入る。精米された米15Kg位を、半切りの桶に入れ、冷たい仕込み水を入れて、二人一組で2組が「秋田米とぎ唄」に合わせて手で研ぎ出す。私もやってみたが、冷たくて三番の歌詞まで永かった。初添え分の280Kgをやったのだろうか?
米とぎ
▼秋田米とぎ唄
∧米とぎの ヤーヨエ 始まるときは
 鶴と亀 鶴亀がヤーヨエ
 流しに降りて舞い遊ぶ
 (ヨエトコーリャ 舞い遊ぶ)
          (囃子以下同じ)
∧米とぎは ヤーヨエ 楽だとみせて
 楽じゃない 寒中にも ヤーヨエ
 はだしに裸 楽じゃない
∧十七八 ヤーヨエ 柳の下で
 せりをつむ せりつめば ヤーヨエ
 柳がよれて からまるよ
∧つばくろが ヤーヨエ 酒屋の破風に
 巣をかけて 夜明ければ ヤーヨエ
 酒こせ売れと さえずるよ
 全員、米研ぎをやったところで、まだ洗米が残っていた。これは、初めての人に体験させるべきと、再度米研ぎをやらされた。冷たい水に手を突っ込んで、4番までやらされいたけど、これで懲りなければいいが...
14:30  休憩しながら、少し暖を取った。今度は、「酉元(もと)すり」の作業に入る。午前中に蒸し米を入れたタンクは、水を含んでおかゆ状態になっていた。これをさっきと同じ「半切りの桶」に入れ、二人一組で2組が酒屋「櫂入れ唄」に合わせて、棒で擦り出す。これを「試桶」に入れて、蔵のタンクまで担ぎ出す。
酉元(もと)すり
 私もやってみたが、3度目の体験だったので、力を抜いて作業が出来た。初めの年は力が入りすぎて、終わったら固まっていた。「試桶」は私が最後で、拍手に送られて蔵の中に消えた。
▼酒屋「櫂入れ唄」
∧揃た揃たヨー 若い衆が揃た ハイハイ
 秋の出穂よりヨー まだ揃た
 (ヨーイヨーイ ヨイヨイヨイ
  アリャリャン コリャリャンデ
  ヨーイトーナー)
          (囃子以下同じ)
∧よいにもとする 夜中にふかし
 朝の夜明けに 酒つくる
∧これは大切 改良の仕込み
 頼みあげます 松尾様
∧千秋楽とは まだまだ早い
 まずは ここらで 納めおぐ
15:30  今日の作業は、これですべて終わった。このあとも蔵人によって、初添え・仲添え・留添えのいわゆる三段仕込みが行われる。酒屋のハッピとタオルを返して、おみやげに去年仕込んだ「ヨーイトーナー」(私の名前が入っている)を貰って帰った。これの搾りは、4/1(日)に行われる。今回は珍しく、マスコミが来なかった。
Ksymbol
 ◆去年の第13回「秋田酒屋唄を飲む会」
 ◆去年の第13回「秋田酒屋唄を飲む会」ヨーイトナ上槽
 ◆一昨年の第12回「秋田酒屋唄を飲む会」
 ◆一昨年の第12回「秋田酒屋唄を飲む会」ヨーイトナ上槽
 次は、●2006/11/04〜05 久しぶりの東京紀行2006