■第17回「秋田酒屋唄を飲む会」体験記
 
 大吟醸「酔楽天」で有名な秋田酒造(秋田晴)の「第17回秋田酒屋唄を飲む会」に、6年連続で参加してきた。去年と同じ「酉元(もと)仕込み」・「米とぎ」・「酉元(もと)すり」の蔵人体験である。酒屋唄を唄いながらの、文字通りの手造りで、楽しくお酒の仕込みのお手伝いが出来たと思う。
 
●2010/1/31(日)
 
 8:25  自宅から歩いて10分くらいの処だが、近いとつい遅くなってしまう。それでも例年よりは早く出発して、國萬歳酒造に向かった。
 
 8:35  ラクダの股引ならぬ厚手の下着を重ね着して、長靴の重装備の出で立ちで向かった。途中、同級生が社長の「英雄」・「新政」瓶詰め工場・「黄金井」と酒屋が続く。残念な事に、どこも造っていないらしい。
 
森川酒造店
 
「新政」瓶詰め工場(写真は去年) 黄金井酒造
 
8:40  近いところなので、やっぱりギリギリの時間になってしまう。正面の玄関から入る。参加の手続きをしたら、まもなく社長の挨拶が始まった。
 
 
正面玄関/店舗
 
●秋田晴  秋田酒造(株)
〒010-1631
秋田市新屋元町23-28
 
 8:50  一同酒蔵内の松尾神社に参拝する。酒屋の神様である。まずは、洗面器で手を消毒して、酉元(もと)仕込みから始まる。釜場では、すでに仕込米が蒸されていて、湯煙を上げていた。
 
松尾神社 手消毒
 
過去の写真より
釜場 ぶち桶
 
 蒸し米を運ぶ桶を「ぶち桶」と言う。肩に担いで一気に走り、麹箱の上にぶちまけたことから、「ぶち桶」と名前が付いたらしい。これの担ぎ方をベテラン会員が実演。本番では、蒸し米の量を少なめにして貰って、約10m先の麹箱にぶちまけた。4〜5人で蒸し米をかき混ぜて冷やす。適当に冷えたところで、仕込み水と麹が入れてあるタンクに入れる。75Kgの蒸し米を、6回ぐらいに分けて行った。
 
蒸し米を冷やす
 
 50名ほどが参加したが、殆どが秋田市で、それ以外は8名程度である。札幌から参加した人もいた。
 
9:30  今回は特別に、3段仕込の初添えと仲添え仕込も体験させて貰った。その前に、蔵人達が蒸し米を機械で冷やし、麹菌を蒔いてから麹室に運んでいた。その後我々が、蒸し米を放冷機で冷やして、それを蔵のタンクに運んだ。7度くらいに冷えた蒸し米をほぐすのが大変な作業だった。さっき手作業で行ったのとは5倍も違う量なのである。
 
 
蒸し米放冷機 麹室
 
 
10:45  場所は、直ぐ隣の西部公民館が解体されて、新屋商店会を通り、南に15分程歩いた秋田市西部市民サービスセンター「ウェスター」に移った。野本社長による酒造りの説明から始まった。
 
秋田市西部市民サービスセンター「ウェスター」 野本社長による酒造りの説明
 
11:10  休憩のあと、利き酒を始めた。まずは名前の入ったお酒を5種類飲む。純米吟醸「千壺天」・純米酒「ヨーイトナ」・超辛口「どっ辛」(白)・純米酒「古式純造り」・普通酒である。このあと、無記名のお酒を飲んで、さっきのどれかを当てるのである。今回は、飲み込まないで利き酒をしたのだが、やっぱり分からなくなる。当てたのは二つだけだった。すべて終わってから、一番美味しかったのを飲み込んだら、それは普通酒だったのである。
 
 
プレ利き酒
 
加藤杜氏による、今回のヨーイトナについて
 
12:00  午後からの仕込みで唄う酒屋唄の練習を始める。指導役は5年前まで蔵の工場長だった人で、今は定年となった。民謡教室に入っていたのか、発声が本格的で上手な人である。去年から、伴奏も入るようになった。
 
酒屋唄の練習
 
12:40  新屋の某仕出しの弁当で昼食。
 
13:40  秋田市西部市民サービスセンター「ウェスター」から蔵に戻る。手消毒を行ってから、「米とぎ」の作業に入る。精米された米20Kgを、半切りの桶に入れ、冷たい仕込み水を入れて、二人一組で2組が「秋田米とぎ唄」に合わせて手で磨ぎ出す。私もやってみたが、最近の運動不足がたたってか、終わったら足がつってしまって、しばらく動けなかった。冷たくて三番の歌詞まで長かった。明日使用分の米440Kgを参加者みんなで磨いだ。
 
米とぎ
 
▼秋田米とぎ唄
 
∧米とぎの ヤーヨエ 始まるときは
 鶴と亀 鶴亀がヤーヨエ
 流しに降りて舞い遊ぶ
 (ヨエトコーリャ 舞い遊ぶ)
          (囃子以下同じ)
 
∧米とぎは ヤーヨエ 楽だとみせて
 楽じゃない 寒中にも ヤーヨエ
 はだしに裸 楽じゃない
 
∧十七八 ヤーヨエ 柳の下で
 せりをつむ せりつめば ヤーヨエ
 柳がよれて からまるよ
 
∧つばくろが ヤーヨエ 酒屋の破風に
 巣をかけて 夜明ければ ヤーヨエ
 酒こせ売れと さえずるよ
 
14:50  休憩しながら、少し暖を取った。今度は、「酉元(もと)すり」の作業に入る。午前中に蒸し米を入れたタンクは、水を含んでお粥状態になっていた。これをさっきと同じ「半切りの桶」に入れ、二人一組で2組が酒屋「櫂入れ唄」に合わせて、棒で擦り出す。今年は固めのお粥になったようで、重くてすりつぶし難い。これを「試桶」に入れて、蔵のタンクまで担ぎ出す。
 
酉元(もと)すり
 
 私もやったが、一番の歌詞が終わったあたりで、櫂入れ棒の一番上が折れてしまった。始める前から少しグラグラしていたので、おかしいなと思っていたが、まさか折れるとは。
 
▼酒屋「櫂入れ唄」
 
∧揃た揃たヨー 若い衆が揃た ハイハイ
 秋の出穂よりヨー まだ揃た
 (ヨーイヨーイ ヨイヨイヨイ
  アリャリャン コリャリャンデ
  ヨーイトーナー)
          (囃子以下同じ)
 
∧よいにもとする 夜中にふかし
 朝の夜明けに 酒つくる
 
∧これは大切 改良の仕込み
 頼みあげます 松尾様
 
∧千秋楽とは まだまだ早い
 まずは ここらで 納めおぐ
 
15:40  今日の作業は、これですべて終わった。このあとも蔵人によって、初添え・仲添え・留添えのいわゆる三段仕込みが行われる。酒屋のハッピとタオルを返して、おみやげに「特別純米酒 ふうわり百壺天」を貰って帰った。これの搾りは、3/28(日)に行われる。
 
 
Ksymbol
 
 次は、●2009/10/17〜18 八戸を満喫!! 八戸観光紀行2009