■酣々塾 雪の茅舎・飛良泉蔵巡り2014
 
 *某酒屋さんが主催している酣々塾の定例会。毎年行われている蔵巡りも、家庭の事情で2002年以来参加できなかったが、去年から参加し始めた。今回は「雪の茅舎・飛良泉蔵巡り」で、会としては4~5年前に企画されているが、その時は猛吹雪だったらしい。さて今回はどうなりますか?
 
 
●2014/02/15(土)
 
08:15  今朝は雪が少し降った。その雪寄せを含めて、早く外に出た。結果的には、大した雪ではなくて、5分ほどで終わった。
 
08:41  電車で新屋駅から二駅の秋田駅へ。土曜日なのに6両もあって、ガラガラ。
  
 
08:50  秋田駅に着いたら、秋田新幹線待ちの客さんがいっぱい居た。関東の大雪の影響で、今朝からどうやら動き始めたようである。
 
 ▼秋田駅東口 
 
09:00  秋田駅東口に貸し切りバスが待っていて、関東関西から来た人を含めて28名が揃って秋田駅を出発。バスは、明田の地下道をくぐり、臨海交差点から国道7号線の南バイパスへ。岩城ICから大内ICまでは、日本海沿岸自動車道を走り、国道105号線に入る。
 
10:20  バスは、雪の少ない由利本荘市石脇の雪の茅舎醸造元 斎弥酒造店の前に着いた。営業部長が迎えてくれた。前は米倉だったと言う「ギャラリー酒蔵サロン」に案内され、簡単な説明。創業は明治35年で、文化庁登録有形文化財となっている。
 
 ▼(株)斎弥酒造店
  〒015-0011
   由利本荘市石脇字石脇53 
   TEL:0184-22-0536
   FAX:0184-24-4558
   http://www.yukinobousha.jp/
 *齋彌酒造で使用する主な原料米「秋田酒こまち」は、蔵人たち自身の手によって毎年地元で育てられた新米を使用します。蔵人たちの真摯な酒造りに対するこだわりは、繊細で気品高い日本酒を生み出し、全国各地、そして地元住民に多くの支持を集めます。地形の高低差を生かした蔵の構造、新山の良質な湧水、酒造りに関しても櫂(かい)入れしないなど、あくまでも自然の力による酒造りを実践していることが最大の特徴です。また、20年以上前から酵母の自家培養にも取り組み、長年にわたり選抜した酵母で独自の香味を生み出し、安定した酒質を醸しているのも特色のひとつです。
 
雪の茅舎醸造元 斎弥酒造店
  
10:34  まずは坂を登るように、登り蔵の一番奥の槽場(ふなば)に案内された。二つのヤブタ式絞り器(藪田:アコーディオンのような形)が有って、昨日絞ったばかりの生酒を頂きながら説明を聞いた。二つあるのは、重複した時でも対応できるようにだそうです。
  
槽場はヤブタ式絞り器
 
10:43  次に案内されたのが「第一酒母室」で、いわゆる吟醸仕込み蔵である。山内杜氏組合長でもある高橋藤一杜氏がお話しをしてくれた。ここでもモロミのままのお酒を試飲させてもらった。新酒なのに、何故かスッキリしている。
  
第一酒母室 試飲
 
10:50  釜場に案内されて、これから蒸し米の放冷と運搬が始まるようである。3種類の蒸し米が、放冷後に杜氏が酵母を捲き、それを若い蔵人達が麹室に運んだ。籠の中には蒸し米がいっぱい入っていて重そうだ。私も別の蔵で体験しているが軽いもの。さすがプロの世界は厳しい。放冷のスピードが速く、あっという間に終わった。蒸し米が、飯米と同じように温かく・柔らかかったのが印象的だった。
  
若き蔵人達が麹室に運ぶ
麹を捲く杜氏 麹パック?
飯米と同じように温かく・柔らかい 私達の到着に会わせて、1~3まで見せてくれた
 
11:15  さっきのギャラリーに戻って、私たちの質問に答える形で、説明が始まった。普段、殺菌はやらないそうだ。その代わりに、汚れる前にいつも清潔にしていると言う。俗に言われる三無い(山内?)とは?
 ・水を加えない。
 ・濾過をしない。
 ・櫂を入れない。
 だそうで、全て無濾過原酒と言うことになる。櫂を入れなくても発酵して、自然と対流が始まるからだと言う。なるほど!! でも絞る前には、平均化するために櫂を入れるそうだ。
  
「ギャラリー酒蔵サロン」にて 高橋 藤一 杜氏
 
11:30  皆さん、甘酒などのお土産品を購入。私は、当蔵特製の奈良漬けを購入した。
  
 奈良漬 
 
11:45  次のにかほ市の飛良泉に向けて、バスは出発した。経路は、日本海沿岸自動車道はいっさい通らず、一般道の国道7号線を走った。
 
12:10  バスは飛良泉の蔵の前に到着。玄関が店舗になっているが、今日はお休みのようである。一同仏間に通されて、酒饅頭とお茶が振る舞われ、26代目当主のお話を伺った。
 
 ▼飛良泉 (株)飛良泉本舗
  〒018-0402
   にかほ市平沢字中町59 
   TEL:0184-35-2031
   FAX:0184-35-2030
   http://www.hiraizumi.co.jp/
 *造りの特長は「山廃仕込み」。正式には山卸廃止仕込みといい、昔ながらの酒母製造方法である。この方法で造られた酒は、酸の生成が高く、ふくよかな味わいで快い酸味があり、飲みあきしない腰の強い酒になる。食中酒として最適であり、特に肉料理のような味の濃いものにも対応できる酒である。
 
店舗 文化11(1814)年建造の土蔵
  
 明治初期までは、仁賀保は北前船の港町としても栄えた。飛良泉本舗は廻船問屋で、泉州・泉佐野から仁賀保に移り住んだ。創業は長亨元年(1487)、銀閣寺建立の年で、室町時代。現在五百有余年。応仁の乱を逃れて舟で座礁し、仁賀保へ上陸。蔵元の斉藤家は、現在26代目。廻船問屋の頃は、由利郡の領主・仁賀保氏と縁戚関係にありました。
 
縄暖簾 仏間
  
 現社長の曾祖父さん、祖父さん、お父さんの肖像画や写真が架けられ、何でも藤田嗣治の絵だとか? 全国で3番目に古い酒蔵だという。
  
全国で3番目に古い蔵元(帝国データバンク調べ)
*クリックすると拡大されます
 
12:34  全員白衣を着て、蔵の中を案内させてもらった。まずは井戸水から見せてもらった。この井戸水は、仁賀保家代々の御膳水で、鳥海山からの硬水。ここに現社長が填まったことがあるとか? 釜場を見せてもらったけど、今日は蒸かしが無かったが、なにやら大仕掛けだった。
  
井戸水 釜場
 
12:42  2階に上がって吃驚、麹室、酒母室などが全て2階にあり、水平移動で仕込みタンクに入るようになっている。蔵暦30年の杜氏さんが案内してくれた。絞り器は舟で、三台もあった。
  
麹室 仕込みタンク上部
酒母室 槽場
 
13:00  最後は試飲。純米大吟醸、純米吟醸、破魔矢の蔵付酵母の3種類でいずれも山廃生。さすがに純米大吟醸が美味しかった。
  
試飲会
蔵に面した通りから 店舗前にバス
 
13:15  バスに乗って、仁賀保駅前の「料理 笹乃井」で昼食。さっきの二つの蔵から頂いてきたお酒で、鱈づくしの料理。だだみ(鱈の白子)の天婦羅、だだみ天婦羅のしぐれあんかけ、寿司のネタが全て鱈と言うから驚きです。そして最後は、「鱈のザッパ汁」です。
 
 ▼寿し・割烹 うなぎ「笹乃井」
  〒018-0402
  にかほ市平沢字新町11-3 
  TEL:0184-35-2331
  http://www2.chokai.ne.jp/~sasanoi/index.html
 
鱈のにぎり寿司 店舗外観
  
15:00  鱈ずくしのコースをたら腹戴き、大満足で仁賀保を後にしました。
 
16:00  途中、道の駅「岩城」でトイレ休憩して、新屋の日吉神社前で途中下車しました。
  
 
 *関東・関西から来たお客さんは、帰りは大雪の影響を受けて、随分時間がかかったらしい。それでもまた秋田に来たいと言うから、恐れ入りました。
  
Ksymbol
  
 次は、●2014/01/26 第21回「秋田酒屋唄を飲む会」体験記