■第15回「秋田酒屋唄を飲む会」体験記
 
 大吟醸「酔楽天」で有名な秋田酒造(秋田晴)の「第15回秋田酒屋唄を飲む会」に、4年連続で参加してきた。去年と同じ「酉元(もと)仕込み」・「米とぎ」・「酉元(もと)すり」の蔵人体験である。今回は初めて、留め添え仕込の体験もしてきた。酒屋唄を唄いながらの、文字通りの手造りで、楽しくお酒の仕込みのお手伝いが出来たと思う。
 
●2008/1/27(日)
 
 8:20  自宅から歩いて10分くらいの処だが、近いとつい遅くなってしまう。それでも例年よりは早く出発して、國萬歳酒造に向かった。
 
 8:40  ラクダの股引ならぬ厚手の下着を重ね着して、長靴の重装備の出で立ちで向かった。我々の業界で言う、屋外中継のスタイルである。途中、同級生が若社長の「英雄」・「新政」瓶詰め工場・「黄金井」と酒屋が続く。
 
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森川酒造店(左は一昨年)
 
 近いところなので、やっぱりギリギリの時間になってしまう。今回は、横の工場口ではなくて、正面の玄関から入る。参加の手続きをしたら、まもなく社長の挨拶が始まった。会長の姿がないのが気になる。
 
 
 今年の蔵は、このところの寒波で、 本来の寒い蔵だった。タンクには、保温のため断熱材を巻いていた。
 
正面玄関/店舗
 
●秋田晴  秋田酒造(株)
〒010-1631
秋田市新屋元町23-28
 
 9:00  一同酒蔵内の松尾神社に参拝する。酒屋の神様である。まずは、洗面器で手を消毒して、酉元(もと)仕込みから始まる。釜場では、すでに仕込米が蒸されていて、湯煙を上げていた。
 
松尾神社 釜場
 
 蒸し米を運ぶ桶を「ぶち桶」と言う。肩に担いで一気に走り、麹箱の上にぶちまけたことから、「ぶち桶」と名前が付いたらしい。これの担ぎ方をベテラン会員が実演。本番では、蒸し米の量を少なめにして貰って、約10m先の麹箱にぶちまけた。4〜5人で蒸し米をかき混ぜて冷やす。適当に冷えたところで、仕込み水と麹が入れてあるタンクに入れる。75Kgの蒸し米を、6回ぐらいに分けて行った。
 
ぶち桶 蒸し米を冷やす
 
 50名ほどが参加したが、殆どが秋田市で、それ以外は3名程度である。札幌から参加した人もいた。
 
10:00  今回は特別に、3段仕込の留め添えも体験させて貰った。その前に、蔵人達が蒸し米を機械で冷やし、麹菌を蒔いてから麹室に運んでいた。その後我々が、吟の精の蒸し米約680Kgを蒸し米放冷機で冷やして、それを蔵のタンクに運んだ。7度くらいに冷えた蒸し米をほぐすのが大変な作業だった。さっき手作業で行ったのとは一桁も違う量なのである。私は、3回も担いで蔵に運んだ。
 
蒸し米放冷機
 
10:40  場所を、直ぐ隣の西部公民館に移った。野本社長による酒造りの説明から始まった。今回は火入れが話題となり、方法は蛇管式火入れと瓶火入れがあることが分かった。また、火入れの回数で、無しが生酒、1回が生貯蔵酒又は生詰め酒、2回が一般に流通している火入れ酒。皆さん分かったのかな?
 
 
11:30  休憩のあと、利き酒を始めた。まずは名前の入ったお酒を5種類飲む。大吟醸「酔楽天」・純米酒「古式純造り」・超辛口「どっ辛」(白)・春雪生・・純米酒「ヨーイトナ」である。このあと、無記名のお酒を飲んで、さっきのどれかを当てるのである。今回は、飲み込まないで利き酒をしたのだが、やっぱり分からなくなる。当てたのは一つだけだった。
 
 
プレ利き酒
 
12:00  午後からの仕込みで唄う酒屋唄の練習を始める。指導役は3年前まで蔵の工場長だった人で、今は定年となった。民謡教室に入っていたのか、発声が本格的で上手な人である。
 
 
12:30  新屋の某仕出し店の弁当で昼食。
 
13:00  西部公民館から蔵に戻る。手消毒を行ってから、「米とぎ」の作業に入る。精米された米20Kgを、半切りの桶に入れ、冷たい仕込み水を入れて、二人一組で2組が「秋田米とぎ唄」に合わせて手で磨ぎ出す。私もやってみたが、冷たくて三番の歌詞まで永かった。明日使用分の米440Kgを参加者みんなで磨いだ。今回は、NHKと秋田さきがけのマスコミがやって来た。
 
米とぎ
 
▼秋田米とぎ唄
 
∧米とぎの ヤーヨエ 始まるときは
 鶴と亀 鶴亀がヤーヨエ
 流しに降りて舞い遊ぶ
 (ヨエトコーリャ 舞い遊ぶ)
          (囃子以下同じ)
 
∧米とぎは ヤーヨエ 楽だとみせて
 楽じゃない 寒中にも ヤーヨエ
 はだしに裸 楽じゃない
 
∧十七八 ヤーヨエ 柳の下で
 せりをつむ せりつめば ヤーヨエ
 柳がよれて からまるよ
 
∧つばくろが ヤーヨエ 酒屋の破風に
 巣をかけて 夜明ければ ヤーヨエ
 酒こせ売れと さえずるよ
 
14:30  休憩しながら、少し暖を取った。今度は、「酉元(もと)すり」の作業に入る。午前中に蒸し米を入れたタンクは、水を含んでおかゆ状態になっていた。これをさっきと同じ「半切りの桶」に入れ、二人一組で2組が酒屋「櫂入れ唄」に合わせて、棒で擦り出す。これを「試桶」に入れて、蔵のタンクまで担ぎ出す。
 
 
酉元(もと)すり
 
 私もやってみたが、4度目の体験だったので、力を抜いて作業が出来た。初めの年は力が入りすぎて、終わったら固まっていた。
 
▼酒屋「櫂入れ唄」
 
∧揃た揃たヨー 若い衆が揃た ハイハイ
 秋の出穂よりヨー まだ揃た
 (ヨーイヨーイ ヨイヨイヨイ
  アリャリャン コリャリャンデ
  ヨーイトーナー)
          (囃子以下同じ)
 
∧よいにもとする 夜中にふかし
 朝の夜明けに 酒つくる
 
∧これは大切 改良の仕込み
 頼みあげます 松尾様
 
∧千秋楽とは まだまだ早い
 まずは ここらで 納めおぐ
 
15:30  今日の作業は、これですべて終わった。このあとも蔵人によって、初添え・仲添え・留添えのいわゆる三段仕込みが行われる。酒屋のハッピとタオルを返して、おみやげに去年仕込んだ「ヨーイトーナ」(私の名前が入っている)を貰って帰った。これの搾りは、3/23(日)に行われる。
 
Ksymbol
 
 
 次は、●2007/10/20〜21 強風が吹き荒れる中で、秋田・男鹿観光紀行