■第13回「秋田酒屋唄を飲む会」体験記
 大吟醸「酔楽天」で有名な秋田酒造(秋田晴)の「第13回秋田酒屋唄を飲む会」に、2年連続で参加してきた。去年と同じ「酉元(もと)仕込み」・「米とぎ」・「酉元(もと)すり」の蔵人体験である。酒屋唄を唄いながらの、文字通りの手造りで、楽しくお酒の仕込みのお手伝いが出来たと思う。
●2006/1/29(日)
 7:00  去年のこの会では、大寝坊だったが、これでも早めに起きた。
 ラクダの股引ならぬ厚手の下着を重ね着して、長靴の重装備の出で立ちで向かった。我々の業界で言う、屋外中継のスタイルである。途中、同級生が若社長の「英雄」・「新政」瓶詰め工場・「黄金井」と酒屋が続く。黄金井では、門の通路に車が止めてあった。ワイパーを上げて雪が積もって、何日も動いていない感じ。噂の通り、仕込みをしていないのか?
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「英雄」醸造元
 8:40  歩いて10分の近いところなので、やっぱりギリギリの時間になってしまう。程なくして会長の挨拶が始まった。先の株主総会で役員が替わったようで、今までの社長が会長になったのである。娘である専務も社長になって、杜氏も取締役になっていた。
正面玄関/店舗
●秋田晴  秋田酒造(株)
〒010-1631
秋田市新屋元町23-28
 9:00  まずは、一同酒蔵内の松尾神社に参拝する。酒屋の神様である。洗面器で手を消毒して、酉元(もと)仕込みから始まる。釜場では、すでに蒸し米が終わっていて、湯煙を上げていた。蔵人に聞いたら、前の日に洗米と漬米をして、一晩水切りをする。朝になって、釜に移し火を入れると言う。
松尾神社 釜場
蒸し米を運ぶ桶を「ぶち桶」と言う。肩に担いで一気に走り、ムシロの上にぶちまけたことから、「ぶち桶」と名前が付いたらしい。これの担ぎ方を蔵人が実演。参加者は空の「ぶち桶」を肩に担いで、形だけチェックする。本番では、蒸し米の量を少なめにして貰って、約10m先のムシロにぶちまけた。4〜5人で蒸し米をかき混ぜて冷やす。適当に冷えたところで、仕込み水と麹が入れてあるタンクに入れる。75Kgの蒸し米を、6回ぐらいに分けて行った。
ぶち桶
蒸し米を冷やす
 今は、ベルトコンベアー式の機械があって、釜場から蒸し米をクレーンで持ち上げ、幅広ベルトに流し込むと、大型扇風機が回って冷やされる。この時の釜場の寒さが功を奏するのである。あとは、篭に入れてタンクまで運ぶのである。「天の戸」で見せて貰った。
 46名が参加したが、15名が初めての参加だと言う。住所は殆どが秋田市で、それ以外は5名程度であるが、埼玉・熊本・盛岡から参加した人もいた。
10:00  場所を、直ぐ隣の西部公民館に移った。町内活動でよく使うところだ。去年の5月例大祭の御神輿行列で、昼食会場として来て以来である。川口会長による酒造りの説明から始まった。去年は行程の全てを説明したが、今年は麹・酵母にしぼって説明してくれた。
会長による酒造りの説明
11:00  休憩のあと、利き酒を始めた。まずは名前の入ったお酒を5種類飲む。大吟醸「酔楽天」・純米酒「古式純造り」・超辛口「どっ辛」(白)・春雪生・・純米酒「ヨーイトナー」である。このあと、無記名のお酒を飲んで、さっきのどれかを当てるのである。はじめの5種類は、良く味が分かったつもりだったが、無記名に入った途端、どれも同じ味になってしまった。これは良い味だと思うと、つい飲み込んでしまう。当てたのは一つだけ。今度は、いきなり無記名を飲んでみようか?
11:30  午後からの仕込みで唄う酒屋唄の練習を始める。指導役は去年まで蔵の工場長だった人で、今回定年となった。民謡教室に入っていたのか、発声が本格的で上手な人である。湯沢の全国酒屋唄競演会(私は裏方)に出ていたのか? 最後に、「秋田酒屋唄」まで唄ってくれた。
▼秋田酒屋唄
∧ハア〜 さんさ酒屋の ヤーエー
始まる時は ノヤーエー
へらも杓子も ヤーエー
アリャ てにつかぬヨー
∧ハア〜 酒はよい物 ヤーエー
気の晴れるもの ノヤーエー
飲んだ心は ヤーエー
アリャ 富士の山ヨー
∧ハア〜 酒屋若い衆 ヤーエー
大名の暮しの ノヤーエー
五尺七尺 ヤーエー
アリャ たてて呑むヨー
∧ハア〜 宵にもとする ヤーエー
夜中にふかす ノヤーエー
朝の寒さに ヤーエー
アリャ 酒造るヨー
12:00  新屋の某仕出し店の弁当で昼食。西部公民館から蔵に戻る途中、秋田公立美術工芸短大生が造った36歌仙の看板があった。開学10周年記念事業として、学生が制作した「美短版佐竹三十六歌仙」である。
美短版佐竹三十六歌仙
13:00  手消毒を行ってから、「米とぎ」の作業に入る。精米された米10Kg位を、半切りの桶に入れ、冷たい仕込み水を入れて、二人一組で2組が「秋田米とぎ唄」に合わせて手で研ぎ出す。私もやってみたが、冷たくて二番の歌詞まで永かった。初添え分の280Kgをやったのだろうか?
米とぎ
▼秋田米とぎ唄
∧米とぎの ヤーヨエ 始まるときは
 鶴と亀 鶴亀がヤーヨエ
 流しに降りて舞い遊ぶ
 (ヨエトコーリャ 舞い遊ぶ)
          (囃子以下同じ)
∧米とぎは ヤーヨエ 楽だとみせて
 楽じゃない 寒中にも ヤーヨエ
 はだしに裸 楽じゃない
∧十七八 ヤーヨエ 柳の下で
 せりをつむ せりつめば ヤーヨエ
 柳がよれて からまるよ
∧つばくろが ヤーヨエ 酒屋の破風に
 巣をかけて 夜明ければ ヤーヨエ
 酒こせ売れと さえずるよ
14:30  休憩しながら、少し暖を取った。今度は、「酉元(もと)すり」の作業に入る。午前中に蒸し米を入れたタンクは、水を含んでおかゆ状態になっていた。これをさっきと同じ「半切りの桶」に入れ、二人一組で2組が酒屋「櫂入れ唄」に合わせて、棒で擦り出す。これを「試桶」に入れて、蔵のタンクまで担ぎ出す。私は、酉元(もと)を半切りの桶に入れる作業を手伝っていた。
酉元(もと)すり
 私もやってみたが、相棒は魁新聞の記者。現旧マスコミのコンビである。それを相棒に伝えたが、それどころではなかったようである。2度目の体験だったので、力を抜いて作業が出来た。去年は力が入りすぎて、終わったら固まっていた。「試桶」は、魁の記者の分が少なすぎて、私の番になったら多く残っていて重かった。
現旧マスコミのコンビ
▼酒屋「櫂入れ唄」
∧揃た揃たヨー 若い衆が揃た ハイハイ
 秋の出穂よりヨー まだ揃た
 (ヨーイヨーイ ヨイヨイヨイ
  アリャリャン コリャリャンデ
  ヨーイトーナー)
          (囃子以下同じ)
∧よいにもとする 夜中にふかし
 朝の夜明けに 酒つくる
∧これは大切 改良の仕込み
 頼みあげます 松尾様
∧千秋楽とは まだまだ早い
 まずは ここらで 納めおぐ
16:00  今日の作業は、これですべて終わった。このあとも蔵人によって、初添え・仲添え・留添えのいわゆる三段仕込みが行われる。酒屋のハッピとタオルを返して、おみやげに去年仕込んだ「ヨーイトーナー」(私の名前が入っている)を貰って帰った。これの搾りは、3/26(日)に行われる。
Ksymbol
●2006/3/26 『第13回「秋田酒屋唄を飲む会」ヨーイトナ上槽・しぼりたてを楽しむ会』体験記
 ◆去年の「秋田酒屋唄を飲む会」
 ◆去年の「秋田酒屋唄を飲む会」ヨーイトナ上槽
 次は ●2005/10/15〜16 日本三景、宮城県松島観光